「公共性の追求」を経営理念の一つに掲げるAOKIグループが、1973年から開催してきた「ハーモニーコンサート」。地域の人々や一般のお客様を無料で招待するこのコンサートは、地域社会への貢献を目的とした文化活動として、半世紀にわたり続けられています。今回は、新日本フィルハーモニー交響楽団のソロ・コンサートマスターである崔様とAOKIグループの運営責任者に開催にあたってのこだわりや工夫、コンサートの意義について伺いました。
PROFILE
公益財団法人新日本フィルハーモニー交響楽団
ソロ・コンサートマスター崔 文洙(チェ ムンス)
東京生まれ。モスクワ音楽院を首席卒業後、新日本フィルハーモニー交響楽団と大阪フィルハーモニー交響楽団のソロ・コンサートマスターを務める。第8回から、AOKIグループ ハーモニーコンサートに参画。2016年、第17回ホテル・オークラ音楽賞 受賞。武蔵野音楽大学客員教授。(写真右)
株式会社AOKIホールディングス
サステナビリティ推進室 課長上田 若菜(うえだ わかな)
2008年入社。AOKIの都内複数店舗で勤務し、副店長を経験。2011年にAOKIホールディングス本社に配属。社長室、IR・広報室(当時)などを経て、2017年からサステナビリティ推進担当としてハーモニーコンサートの運営業務に携わり、2023年より運営責任者を務める。(写真左)
経営理念が育んだ、無料ご招待の音楽コンサート
―ハーモニーコンサート開催の背景・目的を教えてください。
- 上田:
- AOKIグループが掲げる経営理念のひとつ「公共性の追求」のもと、ビジネス以外でも世の中の役に立ちたいという想いから、1973年に創業地の長野で初回のコンサートを開催しました。当時から、地域が元気であってこそビジネスも元気になるという考えがあり、地域への恩返しの意味も込めてこの活動を続けています。当初は店頭で招待券を配っていました。現在は新聞広告と店頭チラシで募集をし、応募いただいた中から抽選で1,000組・2,000名を招待しています。10代からご年配の方まで、幅広い世代の方々に来場いただいています。
―第6回(1978年)から出演されている新日本フィルハーモニー交響楽団(以下、新日本フィル)との関わりについてお聞かせください。
- 上田:
- 新日本フィルさんに出演をお願いしたのは、AOKIグループの創業20周年という節目のタイミングでした。
- 崔:
- 新日本フィルは1972年創立なので、当時はまだ若いオーケストラで、長野での公演は知名度を高める大きなチャンスでした。また、これほど長期にわたり継続的な支援をいただいているのは非常に稀で、AOKIグループの音楽に対する真摯な姿勢と楽団への愛情を強く感じています。

感動の舞台を支える、情熱とこだわり
―演目や開催場所など、運営上でこだわっていることや工夫していることを教えてください。
- 上田:
- ソリストは若手の実力派を中心に、性別や楽器に偏りが出ないよう配慮しています。演目は毎年変え、オーケストラらしい華やかさや、元気・前向きさを感じられる曲を意識していますね。経営陣のクラシックへの深い理解も選曲に生かされています。約1年半前から準備を始め、ホールが決まり次第、新日本フィルさんと相談して出演者や楽曲を決定しています。
- 崔:
- 初めて来場された方が「来てよかった」「元気が出た」と思えるよう、関係者と構成を丁寧に練っています。クラシックに初めて触れる方にも、何か心に残る体験を持ち帰っていただけたら嬉しいですね。
―お客様の反応はいかがですか。
- 上田:
- お客様の反応も非常に大きく、毎回500名以上からアンケートの回答があります。「ぜひ継続を」という声に触れるたびに、「より多くのお客様に喜んでいただけるように続けていきたい」という思いが強くなっています。

心に響くクラシック音楽が人生を豊かにする
―コンサートによってもたらされている価値や、活動を続ける意義について教えてください。
- 上田:
- ある従業員が、普段あまり多くを語らない義理のお父様から「あなたはいい会社に勤めているんだね」と突然言われたそうです。どうやらコンサートを長年続けている姿勢を知って、信頼の気持ちを持ってくださったようで。こうした話を聞くと、コンサート活動が、AOKIグループのブランドや社会的信頼を高め、従業員の誇りやエンゲージメントにもつながっていると実感します。
- 崔:
- 若年層のクラシック離れや少子化の影響で、音楽教育を受ける学生も減っています。そんな中、このコンサートが若い世代にとってクラシックと出会う貴重な機会になっているのは、とても意義あることです。抽選でのご招待のため、普段クラシックに触れることの少ない方も多く来場されます。だからこそ、本物の音楽を届けたいという気持ちで、毎回身が引き締まる思いで演奏に臨んでいます。
―音楽の魅力とは何でしょうか?
- 崔:
- 音楽は、言葉で表せない感情を代弁し、寄り添ってくれる存在です。心を揺さぶる体験は人生を豊かにしてくれます。特にオーケストラの“生の音”は、ホールの響きや天候、聴く人の心情によっても印象が変わる、まさに奇跡的な体験だと思います。

コンサートの輪を広げ、多くの人々に喜んでいただける音楽体験を
―今後の展開をお聞かせください。
- 上田:
- まずは、続けていくこと、そしてより多くの方にこの活動を知っていただくことです。最近ではコンサートの場を活用して子ども食堂への寄付を目的としたチャリティーも行うなど、新たな社会的つながりも生まれています。今後も、地域や社会との接点を広げていきたいです。
- 崔:
- コンサートの質をさらに高めながら、もっと多くの方に感動が伝わるような形を模索していければと思います。お客様に心から喜んでいただける、そんなプロジェクトに育てていきたいです。
―来場される方へのメッセージをお願いします。
- 上田:
- 明日への活力やささやかな楽しみ、そしてその場でしか味わえない心のつながりを感じていただけたら嬉しいです。ぜひAOKI・ORIHICAの服を着て、おしゃれをしてお越しください。
- 崔:
- とても楽しいコンサートです。ご家族や友人と一緒に応募していただき、サントリーホールでお会いできるのを楽しみにしています。
- #AOKIグループ
- #サステナビリティ