AOKI、快活CLUB、コート・ダジュール、アニヴェルセルなど複数の事業を展開するAOKIグループ。その強みを生かして取り組むのが、店舗の一部あるいは建物自体を、グループ内外の他事業に貸し出す「店舗スペースの戦略的活用」です。その狙いは、店舗活用の幅を広げて新たなシナジーを生み出すこと、そして時代の変化に迅速かつ柔軟に対応することにあります。AOKIホールディングス店舗開発部の菅原さんに、その内情と効果を聞きました。

PROFILE
株式会社AOKIホールディングス 執行役員
店舗開発部 部長
菅原 壮(すがわら たけし)
1994年、株式会社アオキインターナショナル(現・株式会社AOKIホールディングス)入社。株式会社AOKIでの店舗スタッフ、店長などの経験を経て、AOKIホールディングスの店舗開発本部に配属。2023年、同本部の執行役員に。グループ店舗の開発や不動産事業に取り組む。
一つの空間から二つ以上の事業が生まれる、店舗スペースの有効活用法
AOKIグループが店舗スペースの戦略的活用に力を入れるようになったのは、1990年代後半のこと。菅原さんはこう話します。
「ファッションのAOKIでは、80年代末から90年代にかけて多くの大型店舗を出店しました。そんな中、消費者ニーズや売り場環境の変化などで店の広さが適切ではなくなるケースがあり、スペースの一部を他の事業に転用するようになっていきました」
たとえば、2フロアだったAOKI店舗を1.5フロアや1フロアにまとめ、空いたスペースを、複合カフェの快活CLUB、カラオケのコート・ダジュール、フィットネスジムのFiT24などに転用する。あるいは統合や閉店で丸ごと空いた建物を、そのままグループ内の他事業の店舗にする。そして状況によっては、たとえばリサイクルショップや小規模スーパーなど、他社にも貸し出す。そのような活用法でした。
「転用した店舗の業績はおおむね好調で、売り場面積を減らした店舗でも、かえって効率性が高まって面積あたりの売上が向上するケースが多いです」

新たなチャレンジが、後に事業として大きく成長
スペースの転用をして新たに始めた事業が、後に大きく成長した事例もあります。その代表例が、横浜市のすみれが丘の店舗です。もともと1・2階をAOKIの店舗として、3階を倉庫として使っていたところを、1998年にAOKI店舗を1階にまとめ、2階をコート・ダジュールに転用。これがコート・ダジュールの1号店となりました。
「当時からコート・ダジュールが目指していたのは、明るくて清潔感があり食事も美味しい“家族で安心して過ごせるカラオケ店”です。その点、ファミリー層が多い港北ニュータウンという場所も、大ぶりな店舗スペースも、コンセプトにぴったりでした」
同じように、1・2階ともAOKIの店舗だった千葉県・幕張の店舗の2階スペースを、2003年に快活CLUBに転用。これが快活CLUBの1号店となりました。
「店舗スペースの再活用は、お客様のニーズに柔軟に対応し、他の事業形態にもどんどんチャレンジしていくというグループのあり方を体現する施策といえます」

「ここにあれば喜ばれる」発想とシナジーの創出
他社とコラボレーションした事例の一つとしては、AOKIの店舗スペースの一部をメガネ店に貸し出した取り組みがあります。AOKI店内に約30坪のメガネ店を併設し、AOKI店内で買い物しながらメガネも選べる“ショップ・イン・ショップ”を実現しました。
「同じ形で、AOKIの店内に携帯電話のキャリアショップが入ったケースもあります。メガネ店も携帯電話ショップも、AOKIとお客様層が重なり、互いに集客力を高められるというシナジーが生まれた事例です」
「大切にしているのは、よりお客様の支持を得られる店舗構成にすることです。以前は、単体の店舗でどれだけ利益を上げるかという視点が強かったのに対し、近年は『ここに何があれば地域の方々にいっそう喜んでもらえるか』を重視するようになりました」

大きな時代の変化にも、素早く柔軟に対応
今後も他事業との連携をいっそう強めて、「より効果的な店舗活用を図っていきたい」と菅原さんは話します。AOKIグループでは、こうした店舗スペースの再活用を中期経営計画の重要施策の一つに掲げています。他社との連携の拡大とあわせてコミュニケーションの強化も図り、データ共有や共通キャンペーンの展開などを通して売り手とお客様双方の利便性を高めることを目指します。
「既存の“枠”にこだわりすぎず、店舗活用の幅を広げられる部分は広げることで、変化の激しい時代に素早く柔軟に動ける体制にしていきたいです。特に近年は建設費が高騰し、当社グループにとっても他社様にとっても、新たに店舗を建てることは容易ではありません。だからこそ、既存の店舗を再活用して新たなチャレンジができることは、大きなチャンスだと捉えています」
今後力を入れたい施策の一つに挙げるのが、すでに一部店舗で行っている、AOKI店舗にFiT24を併設する取り組みです。大型店舗を中心に、この組み合わせを積極的にチャレンジしていきたいと菅原さんは目を輝かせます。
「こうしたチャレンジを、必要に駆られて受動的に行うのではなく、『ここにこれを組み合わせたら、絶対に面白いだろう』と能動的に楽しく展開していけたら何よりですよね。ぜひそこを目指して、今後も鋭意取り組んでまいります」

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